飲食店の廃棄・フードロスを減らす方法
― 原価改善に直結する3つの視点
仕入れ価格を1%下げる交渉には手間がかかりますが、廃棄を減らすことは自店の判断だけで進められます。それにもかかわらず、廃棄量を金額で把握している店は多くありません。「なんとなく残った」で終わっている限り、この損失は減りません。
廃棄は「見えない原価」
原価率が想定より高いとき、多くの人はまず仕入れ単価を疑います。しかし単価が適正でも、買ったものを使い切れていなければ原価率は上がります。
たとえば1kg1,000円の食材を10kg仕入れ、2kgを廃棄したとします。実際に使えたのは8kgですが、支払いは10kg分。実質的な単価は1,250円になっており、25%も高い食材を使っているのと同じことです。
廃棄を3つに分けて捉える
「廃棄」とひとくくりにすると対策が立てられません。次の3つに分解します。
| ① 仕込みロス | 仕込んだが提供に至らず捨てた分。需要予測と仕込み量の問題 |
|---|---|
| ② 歩留まりロス | カットや下処理で落ちる部分。技術と規格の問題 |
| ③ 過剰在庫ロス | 使い切る前に賞味期限が来た分。発注量と在庫管理の問題 |
原因が違えば打ち手も違います。まずは自店でどれが大きいのかを見極めることが先です。
① 仕込みロスへの対策
仕込みすぎる理由の多くは「足りなくなるのが怖いから」です。品切れは機会損失であり、お客様の不満にもつながるため、現場が多めに仕込むのは自然な判断です。
対策は、精神論ではなく判断材料を渡すことです。
- 曜日別・天候別の出数を記録し、仕込みの基準を作る
- 当日仕込みできるものと、前日仕込みが必要なものを分ける
- 終盤に品切れしてよい商品と、切らしてはいけない商品を決めておく
3つ目は特に効きます。すべてを最後まで揃える必要はない、と方針として決めておけば、現場は安心して仕込み量を落とせます。
② 歩留まりロスへの対策
同じ食材でも、扱う人によって歩留まりは変わります。ここは技術と標準化の領域です。
- 基準を数字で持つ:この食材は原体1kgから何g取れるべきか
- 実測して差を見る:基準より低ければ、技術か包丁か手順に原因がある
- 端材の使い道を設計する:捨てていた部分をまかないではなく商品化できないか
③ 過剰在庫ロスへの対策
まとめ買いで単価を下げたのに、使い切れずに捨てている。これは現場でよく見かける構図です。
- ロットが大きい食材ほど、消費期間を計算してから発注する
- 「安いから買う」ではなく「使い切れるから買う」を判断基準にする
- 複数メニューで使える食材を優先し、単一メニュー専用の食材を減らす
3つ目はメニュー構成の話でもあります。専用食材が多いほど在庫リスクは高まります。詳しくはメニュー構成の見直し方をご覧ください。
まず1ヶ月、記録する
対策の前に現状把握です。ただし、精緻な計量システムは不要です。次の程度で十分に傾向は掴めます。
- 廃棄した食材名と、おおよその量を日々メモする
- 週末にまとめて、金額に換算する
- 1ヶ月続けて、上位5品目を特定する
ほとんどの店で、廃棄額の大半は少数の品目に集中しています。全体を薄く改善するより、上位5品目に集中したほうが効率が良いのはこのためです。
まとめ
廃棄削減は、仕入れ交渉と違って相手が必要ありません。自店の意思決定だけで進められる、最も着手しやすい原価改善です。
一方で、日々の記録という地道な作業が必要になるため、後回しにされがちでもあります。まずは1ヶ月、上位品目を掴むところから始めてみてください。
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