メニュー構成の見直し方
― 出数と粗利で分ける4分類
メニューは、増やすより減らすほうが難しいものです。「せっかく作ったから」「常連さんが頼むから」と残していくうちに、品数だけが膨らんでいく。しかし品数の多さは、食材の種類・仕込み・廃棄・現場の負荷すべてを押し上げます。
品数が多いことのコスト
メニューが1品増えると、次のものが一緒に増えます。
- 専用食材の在庫(他で使えないものほど廃棄リスクが高い)
- 仕込み工程と、それにかかる人件費
- スタッフが覚えるべきレシピと提供手順
- 発注管理の手間と、発注ミスの可能性
逆に言えば、品数を減らすと、これらすべてが同時に軽くなります。原価だけでなく、人件費と現場負荷にも効くのが、メニュー整理の大きな価値です。
4分類で整理する
感覚で「これは残そう」と決めると、必ず判断がぶれます。次の2軸で機械的に分類してください。
- 横軸:出数(月にどれだけ注文が入るか)
- 横軸:粗利額(売価 − 原価。率ではなく金額)
| ① 出数:多い × 粗利:大きい | 店の柱。絶対に切らさない。導線の最も目立つ位置に置く |
|---|---|
| ② 出数:多い × 粗利:小さい | 改善対象。原価の見直しか、価格の再設定を検討する |
| ③ 出数:少ない × 粗利:大きい | 伸ばす候補。推し方を変えれば①に移せる可能性がある |
| ④ 出数:少ない × 粗利:小さい | 整理の候補。残す理由を説明できなければ削る |
分類ごとの打ち手
① 主力商品:守る
ここを崩さないことが最優先です。品切れを起こさない、品質を落とさない、価格をむやみに触らない。改善のためにいじって失敗すると、影響が最も大きいのがこの層です。
② 出るけれど儲からない:構造を変える
よく出るということは、お客様に支持されている証拠です。削るのではなく、粗利を改善する方向で考えます。
- 食材の仕入れ条件を見直す(出数が多い=使用量が多いので、交渉の対象にしやすい)
- 付け合わせや構成を変えて原価を下げる
- 単品ではなくセットに組み込み、全体の粗利で回収する
③ 儲かるけれど出ない:見せ方を変える
商品自体には力があるのに、伝わっていない可能性があります。メニューブックでの位置、写真の有無、名前、スタッフの推奨。費用をかけずに試せる施策が多い層です。ここが動くと、店全体の粗利は大きく改善します。
④ 出ないし儲からない:整理する
ここを削ることに抵抗を感じる方は多いですが、判断基準を1つ持つと決めやすくなります。「このメニューがなくなったとき、来なくなるお客様がいるか」。答えがノーなら、整理の対象です。
分類の前に必要なデータ
この分析には、最低限これだけあれば始められます。
- メニュー別の月間出数(POSデータ、または手集計でも可)
- メニュー別の原価(レシピから算出)
- メニュー別の売価
原価が正確に出ていないケースは多いのですが、まずは概算で構いません。1円単位の精度より、全メニューを同じ基準で並べることのほうが重要です。相対的な位置関係さえ分かれば、判断はできます。
整理したあとにやること
品目を減らしたら、そこで浮いたリソースを再配分します。
- 食材の種類が減る → 残った食材の使用量が増え、仕入れ交渉がしやすくなる
- 仕込み工数が減る → ①③の商品の品質向上や、接客に時間を回せる
- 在庫が減る → 廃棄が減り、保管スペースにも余裕が出る
メニュー整理の本当の効果は、削った品の原価だけではありません。店全体のオペレーションが軽くなることにあります。