メニュー開発を外注するときの進め方
― 依頼前に整理すべき5つのこと
メニュー開発を外部に頼みたいが、何をどう伝えればいいか分からない。この状態で依頼すると、出てきた提案が現場で使えず、時間だけが過ぎることになります。依頼前の整理が、そのまま成果を左右します。
外注がうまくいかない典型パターン
- 美味しいが、現場で作れない:工程が多すぎ、ピーク時に提供できない
- 原価が合わない:試作段階では良かったが、実運用の歩留まりを考慮していない
- 店のコンセプトと合わない:単体では良い料理だが、他のメニューと並ばない
- 提案だけで終わる:レシピは受け取ったが、現場への落とし込みは自社任せ
これらの多くは、依頼側の情報提供が不足していたことに起因します。逆に言えば、事前の整理次第で防げるということです。
依頼前に整理すべき5つのこと
1. 目的を1つに絞る
「売上を上げたい」「原価を下げたい」「話題性がほしい」「オペレーションを軽くしたい」。これらは同時には満たせません。優先順位をつけてください。
たとえば「原価を下げる」が最優先なら、多少手間がかかっても原価の安い構成を選ぶ。「現場を軽くする」が最優先なら、原価が多少上がっても工程の少ない構成を選ぶ。目的が曖昧だと、提案も曖昧になります。
2. 現場の制約を洗い出す
ここを伝えないと、使えない提案が出てきます。
- 厨房設備(オーブンの有無、火口の数、冷蔵・冷凍のスペース)
- ピーク時の人員数とスキルレベル
- 1品あたりに割ける提供時間
- 仕込みに使える時間帯と作業スペース
3. 数字の目標を決める
- 想定売価
- 目標原価率、または目標粗利額
- 想定する月間出数
「原価率30%以内」だけでなく「粗利額○円以上」も併せて示すと、提案の質が上がります。理由は原価率と粗利額、どちらを見るべきかで解説しています。
4. 使いたい/使えない食材を明示する
既存の仕入先で調達できる食材か、新規開拓が必要かで、実現性もコストも変わります。既存食材を活かす前提なら、在庫リスクも下がります。
5. どこまで頼むかを決める
「レシピをもらう」だけなのか、「現場が再現できる状態まで」なのか。ここの認識がずれると、必ずトラブルになります。
| レシピ提供のみ | 分量と手順の書面。現場への展開は自社で行う |
|---|---|
| 試作・調整まで | 実際に作り、味と工程を確認して修正する |
| オペレーション設計まで | 仕込み手順、提供手順、必要な器具まで含めて設計 |
| 導入・検証まで | 現場での実演、スタッフ教育、導入後の出数・原価の検証 |
依頼先を選ぶときの判断基準
- 飲食の現場経験があるか:料理は作れても、店舗運営を知らないと現場で回らない提案になりがちです
- 原価と数字の話ができるか:味の話しかしない相手は、経営課題の解決には向きません
- 仕入れまで見られるか:メニューと仕入れは連動します。両方見られると打ち手が広がります
- 導入後まで関わるか:提案して終わりか、検証まで伴走するか
確認しておきたいこと試作にかかる費用、修正の回数制限、レシピの権利の帰属、導入後のフォローの有無。これらは後で揉めやすい点なので、依頼前に確認しておくことをおすすめします。
進め方の目安
- ヒアリング:目的、制約、数字目標の共有
- 企画提案:方向性と候補の提示
- 試作・評価:実際に作り、味・工程・原価を確認
- 修正:現場で回る形に調整
- 導入:レシピ確定、スタッフ教育
- 検証:出数と原価の着地を確認し、必要なら改廃
最後の「検証」まで含めて初めて、メニュー開発は完結します。出したきり誰も振り返らないメニューは、いずれ整理対象になります。