値上げせずに利益を出す方法
― 客数を落とさない5つの打ち手
食材費も人件費も上がり続けるなか、値上げは正当な判断です。ただし一度上げた価格は下げにくく、客数が落ちれば売上そのものが減ります。値上げは有効な手段ですが、最初の手段である必要はありません。
値上げの前に考えるべきこと
値上げには、次のリスクが伴います。
- 客数が減り、値上げ分を相殺してしまう
- 近隣競合との価格差が開き、比較で不利になる
- 常連客の来店頻度が落ちる(1回あたりの単価は上がっても、月間では減る)
重要なのは、値上げが「ダメ」なのではなく、順番の問題だということです。先に内部の改善をやり切ったうえで、それでも足りない分を価格に反映する。この順番なら、値上げの幅も小さくて済みます。
打ち手1:構成を変えて実質的に調整する
価格は据え置いたまま、提供内容の構成を見直す方法です。
- メインの量は変えず、付け合わせの内容を組み替える
- 高騰している食材の使用量を減らし、他の食材で満足度を補う
- 季節に応じて、相場の安い食材へ自然に切り替える
注意点として、単純な減量は気づかれます。お客様が感じる価値を維持したまま構成を変えることが前提です。
打ち手2:セット化で客単価を上げる
1品の価格を上げるのではなく、1回の来店で使う金額を増やすアプローチです。
- 単品+ドリンクのセット価格を設定する(ドリンクは粗利率が高い)
- メイン+サイドのセットで、全体の粗利額を確保する
- コースやプリフィクスを用意し、注文の意思決定を簡単にする
お客様にとっては「まとめたほうが得」という体験になり、店にとっては粗利額が増える。双方にメリットのある形が作れます。
打ち手3:粗利額の大きい商品へ導線を作る
価格も原価も変えず、「何が売れるか」だけを変える方法です。費用がかからないため、最も試しやすい打ち手です。
- メニューブックの最初と最後(目に留まりやすい位置)に主力商品を置く
- 写真を載せる商品を絞る(載せた商品は出数が伸びる)
- スタッフの推奨トークを統一する
- 「本日のおすすめ」を粗利額基準で選ぶ
どの商品を推すべきかの判断は、メニュー構成の見直し方で解説している4分類が使えます。
打ち手4:仕入れ条件を見直す
そもそも仕入れ価格が適正か。何年も条件が動いていないなら、ここに余地があります。年間使用量を整理し、規格や発注ロットを見直し、必要なら仕入先を比較する。
詳しい進め方は食材の仕入れ価格交渉のやり方にまとめています。
打ち手5:廃棄を減らす
買ったものを使い切れていなければ、実質的な原価は上がります。廃棄の削減は、値上げと違って客数に一切影響しない改善です。詳しくは飲食店の廃棄・フードロスを減らす方法をご覧ください。
それでも値上げが必要な場合
内部の改善をやり切っても足りない場合、値上げは正当な判断です。その際のポイントを挙げます。
- 全品一律に上げない:価格に敏感な商品と、そうでない商品を分ける
- 主力商品は慎重に:来店理由になっている商品ほど、値上げの影響が大きい
- 同時に価値を足す:量、品質、提供方法など、何かが良くなっていれば納得を得やすい
- タイミングを選ぶ:メニュー改定と同時に行えば、価格変更が目立ちにくい
まとめ
値上げは有効な手段ですが、最後の手段として取っておくほうが、経営の自由度は高くなります。構成・セット化・導線・仕入れ・廃棄。この5つをやり切ってから価格を考える。この順番を推奨します。